英語圏では筋膜をfasciaといいますが、英語のfasciaは必ずしも筋肉と包む膜のことを指すわけではありません。
腱、骨や内臓を包む膜も含むカラダのすべての膜をfascia(筋膜)といいます。
筋膜は膜状の結合組織で、骨や筋肉、内臓、神経などを包んでそれらに形を与え、支え、つないでいます。
ちなみに筋肉を包む膜を限定して表現する場合はmyofascia(筋筋膜)といいます。
筋膜の構成要素
細胞(繊維芽細胞、筋繊維芽細胞)、繊維(コラーゲン、エラスチン、レチクリン)、基質(グリコサミノグリカン、プロテオグリカン)、水分で構成されていてカラダ全体がひとつなぎに覆っています。
筋膜ではすべてつながっているので、
腰の緊張が首に影響したり、ふくらはぎの緊張が腰に影響したりもします。
筋膜には個体が液体に近い状態に変化するチキソトロピーという性質があります。
筋膜がいい状態、柔軟性のある状態とは、筋膜がより液体に近い状態です。
筋膜が液体に近い状態になるには、水和と熱と動きという3つの要素が必要です。
エラスチンとコラーゲンの繊維でできた筋膜の構造の中にあるゲル状の基質は温度があがればあがるほ粘性は低下し、温度が下がるほど粘性は増します。
はちみつやバターを想像するとわかりやすいと思います。夏場の気温高いときは部屋に置いてると液体になるし、冷蔵庫に入れると固まって個体になりますよね。
はちみつなんかはゆっくりかき混ぜていると少しづつやわらかくなってきます。温度と動きにより柔らかくなります。
スポーツをする前に準備運動するのは、神経系や循環系の作用のためなどいろんな理由があるのですが、
筋温をあげて筋膜の粘性をあげて動きやすくするという意味もあるのです。
運動不足や長時間の不良姿勢が続くと、細胞外基質の流動性が低下してドロドロになり、コラーゲンに糖質がくっついてべたべた絡み合い、筋膜の伸縮性が失われていきます。
凝りや身体が硬くてうまく動けないということが起きてきます。
筋膜は感受性が強い
筋膜は筋肉の約6倍の感覚神経受容体を持つとも言われています 。
要するに痛みの多くは筋肉ではなく、筋膜で感じていることが多いです。
今までは筋肉の痛みだと思っていたものが実は筋膜に問題があることが分かってきて痛みの治療法も日々変わってきています。
また、痛みだけでなく、振動や圧迫、伸長など多くの感覚を筋膜で感じています。
運動したり、施術をうけたりすることで筋膜は日常生活では受けない刺激を感じて、血流のよい弾力性のある機能的な組織に生まれ変わっていきます。
筋膜リリースの主な効果は筋膜の癒着、高密度化の改善です。
筋膜に刺激を加え、粘性を下げて筋膜間のすべりをよくします。
血流をよくしたり水分を組織に供給しやすい状態にし柔軟性と弾力性を与えます。
筋膜はがしやリリースという言葉から筋膜をべりべりはがしたり、組織を溶かしたりなどの間違ったイメージが伝えられていることもありますが、基本的に筋膜のコラーゲン繊維は手の力くらいでは構造は変えられないし、はがれないし、溶けることもないです。
人の手で変えられるぐらい簡単に構造が変わってしまうと椅子に座る度におしりは平になります。
ただし、構造を変える方法もあります。
筋膜の性質には、粘性、弾性、塑性、リモデリングがあり、それらの性質に対して圧や伸長ストレス、弾性ストレスなどを繰り返し長期にわたって加え続けることによって徐々に組織を変えていくことができます。
本来、筋膜は水分豊富でみずみずしく、とても柔軟性があり、生きている筋膜同士は滑らかに滑ります。
しかし現代の生活習慣はどんどん身体を使わなくなっています。
普段使っていない部分は組織の可動性が悪くなって癒着が起きたり、組織が高密度化して動きにくい身体になっています。
筋も血管も臓器もすべて筋膜に覆われているので、筋膜間のすべりが悪くなっていると様々な臓器や組織に影響がでることもあります。
今の身体の状態は、毎日の私たちの動きに適応して作り上げられたものです。
今の身体の状態がもし心地よい状態でないのだとしたら、動きのパターンを改善する必要があります。
組織を圧迫したり、伸ばしたり、弾むような動きをすることによって筋膜も今までと違った柔軟性のある状態や強い組織に生まれかわっていきます。
筋やfascia(筋膜)にアプローチすることにより、通常のマッサージやストレッチでとることができなかった凝り、痛み、自律神経のアンバランスなどが改善していきます。そして、それは精神や心の癒しやエネルギーの充足にもつながることがあります。
神経、筋や筋膜が本来の正常な状態にもどることで姿勢が改善してきたり、内臓の働きがよくなったり、深いリラックス効果を感じることもあります。
身体をスムーズに動かすには、ヒアルロン酸など膜同士の間にある潤滑液を正常な状態にし、膜のすべりをよくしてあげることです。
あとは、細胞外基質のゲル化を解消して筋膜の伸縮性を取り戻すことや、筋肉、筋膜の交感神経興奮状態などによる異常な筋収縮を抑え、神経が正常に働く状態(きちんと筋肉、筋膜が緩む)をつくってあげることです。
これらを達成するのためには「神経筋の調整」「組織への水分補給」「温度を高める」「動き」などの要素をコントロールする必要があります。
体温、筋温があがれば、潤滑液であるヒアルロン酸の温度が上がり潤滑機能が高まります。お風呂上がりに体の柔軟性が増すのはこのためです。運動前に体をあたためる・ウォーミングアップの目的も同じです。
温泉後にストレッチを施術するとすごく効果が高くなるのもこのためです。
筋膜をリリースする具体的な方法とは「ストレッチ」「皮膚を刺激する」「腕や肘、手で筋筋膜に圧をかけたり、振動させたり、こすったりなどの刺激を加える」「器具でこする」「フォームローラー」「鍼」「注射で生理食塩水の注入」などいろいろあります。
どれが正しい筋膜リリースなのかということではなく、どの方法も一定の効果があります。
上記の方法の中には浅筋膜に主に働きかけるもの、深筋膜に働きかけるもの、機械受容器に働きかけるもの、物理的な水分補給などいろんな作用を通じて筋膜リリースを行おうとしています。
筋膜リリースとひとくくりにされますが、アプローチする場所や作用や目的も少しずつ違ったりします。
大事なのは何かというと、その人の身体がどういう状態にあるのかを把握する能力と筋膜に正しく働きかけられているのかということです。
実は普通のストレッチやラジオ体操も筋膜はストレッチはされているし、ヨガも自分でできる筋膜リリースと表現されたりすることがあります。
指圧やマッサージでもやり方によっては筋膜リリースは含まれていますし、どんな運動でも筋膜は使われています。
最近になって筋膜の役割や機能が医学的にどんどんわかってきて注目を浴びているだけであって、筋膜リリースそのものは実はいろんな形で昔から存在します。
しかし、普通のマッサージやストレッチを行っていれば、完璧に筋膜はリリースされているのかといえばそういうわけでもありません。
筋膜を意識せず行っている場合は、たまたま、部分的に筋膜リリースにもなっているというだけです。
筋膜リリースは、刺激を与える時間や方向、加える力の強さや深さ、刺激の種類などいろんな要素があります。
それらを意識的に行って、筋膜がリリースされている感触を感じとりながら行っていないと筋膜リリースにはならないでしょう。
そして、知ってもらいたいのが筋膜リリースをすれば肩こりや腰痛などがすべてが解決するわけではありません。
テレビや雑誌では、筋膜リリースですべて解決みたいな夢のような話をしたりしますが、
筋膜リリースはたくさんある身体へのアプローチ法のひとつに過ぎません。
身体は筋膜だけで構成されているわけでもないからです。
ただ、筋膜に対するアプローチで劇的に身体はよくなることはもちろんあります!今まで何をやっても変わらなかったのに筋膜にアプローチして身体はすごく変わっていく姿を数えきれないくらい実際目にしてます。
そして、この方法だけでしかよくならないってことはないです。
様々な方法でそれぞれよくなっていく姿をみているので、いろんなやり方があっていいのではないかと思います。
筋膜リリースもいろんな方法がありますから、その人に合った方法、合わない方法があります。
どこかで筋膜リリースを受けて合わなかったからといってすべての方法が合わないわけでもないので色々試してみるのがいいと思います。
そして、身体は緩めば、柔らかくすればすべてがよくなるわけでもないからです。
柔軟性とともに組織に強さをつけていかなければ、身体は外力に負けて身体を痛めてしまいます。
筋肉、筋膜をトレーニングするということも必要になってきますし、神経系や循環器系のトレーニングなども大事な要素になります。
ひどい身体の症状などは食事や睡眠、ストレスケアなど生活習慣も含めて身体に向き合っていかないと改善できないことも多々あります。
最近はテレビや雑誌などで「筋膜リリース」という言葉がよく聞かれるようになってきて流行になりつつあります。新しい発見のようにメディアでは取り上げられていますが、実は筋膜へのアプローチは鍼灸、オステオパシー、ロルフィングなどでは昔から行われていますし、これらの代替療法のセラピストたちには筋膜の概念はそれほど新しいものではありません。ただ近年の研究の結果から新しい事実がどんどんわかってきて、アプローチ法も年々進化しています。
近年の研究の結果、筋膜の果たす役割や機能が科学的に証明され、病気や肩こり、腰痛などと筋膜の関連が医学的に証明されるようになって、現代医学も関心を持ち始め、メディアが新しい新発見のように取り上げられるなりました。
解剖学の本には、筋肉をわかりやすくみせるために筋膜は示されていません。
筋肉と筋肉は、筋膜でつながっています。
過去の解剖学書は筋肉や内臓などをわかりやすくみせるために、筋膜を除去された状態で表記されていました。現在もそうです。
その概念で医療従事者は勉強してきたわけですから、筋膜に関することは深く学ぶことがなく現代まで見過ごされてきました。筋膜の存在をあまり意識することなく、医学、医療が発展してきたのです。
近年の筋膜の注目により今まで病院にいっても治らない、問題ないと言われていた症状も原因が解明されるものが増えてきています。筋膜に注目するドクターも増えてきて、筋膜に対する治療方法も増えてきています。
また、例えば今までは椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症による痛みやしびれですと言われていたものが、違う診断がされる時代にもなってきています。
もちろん、ヘルニアによる症状で手術が必要なものも絶対的にあるのですが、そうでないものも実は多かったのです。本当は手術をしなくてもよかった人や筋筋膜に対するアプローチで改善できた症状も多く存在するのも事実です。
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