筋膜ってなに?筋膜リリースって何?

誤解だらけの筋膜リリース!

筋膜

筋膜ってなに?

筋膜は膜状の結合組織で、骨や筋肉、内臓、皮膚を包んでそれらに形を与え、支え、つないでいます。

筋肉に関する筋膜、筋内膜・筋周膜・筋外膜・深筋膜、浅筋膜などといった種類があります。

 

英語圏では筋膜をfasciaといいますが、英語のfasciaは必ずしも筋肉と包む膜のことを指すわけではありません。

 腱、骨や内臓を包む膜も含むカラダのすべての膜をfacia(筋膜)といいます。

ちなみに筋肉を包む膜を限定して表現する場合はmyofascia(筋筋膜)といいます。

 

また、アメリカでは浅筋膜はsuperficial fasciaスーパーフィシャルファシャと呼ばれますが、

日本ではsubcutaneous tissue皮下組織と呼ばれたりします。

国によって呼び方が違うために専門でない方には紛らわしいことがあります。

 

 

筋膜の構成要素

結合組織細胞、繊維(コラーゲン、エラスチンなど)、基質(コンドロイチン硫酸やプロテオグリカンなど)、水分で構成されていてカラダ全体がひとつなぎに覆っています。

 

筋肉は分かれ目がありますが、筋膜ではすべてつながっているので、

腰の緊張が首に影響したり、ふくらはぎの緊張が腰に影響したりもします。

 

筋膜には個体が液体に近い状態に変化するチキソトロピーという性質があります。

筋膜がいい状態、柔軟性のある状態とは、筋膜がより液体に近い状態です。

筋膜が液体に近い状態になるには、水和と熱と動きという3つの要素が必要です。

エラスチンとコラーゲンの繊維でできた筋膜の構造の中にあるゲル状の基質は温度があがればあがるほ粘性は低下し、温度が下がるほど粘性は増します。

はちみつやバターを想像するとわかりやすいと思います。夏場の気温高いときは部屋に置いてると液体になるし、冷蔵庫に入れると固まって個体になりますよね。

はちみつなんかはゆっくりかき混ぜていると少しづつやわらかくなってきます。温度と動きにより柔らかくなりますよね。

 

スポーツをする前に準備運動するのは、神経系や循環系の作用のためなどいろんな理由があるのですが、

筋温をあげて筋膜の粘性をあげて動きやすくするという意味もあるのです。

 

運動不足や長時間の不良姿勢が続くと、細胞外基質の流動性が低下してドロドロになり、コラーゲンに糖質がくっついてべたべた絡み合い、筋膜の伸縮性が失われていきます。

凝りや身体が硬くてうまく動けないということが起きてきます。

 

筋膜リリースとは何か?

現在、筋膜リリースの定義というのは正式には存在しません。

なので、ネットや本でいろんなことが発信されています。筋膜が注目されてきたのがここ10年くらいのことなので、まだまだ研究段階の分野なのです。

 

個人的には筋膜リリースは何かというと、異常な状態にある筋膜を正常な状態に戻すが筋膜リリースだと考えています。

筋膜リリースは筋膜をはがすものだったり、何かの器具をつかったものだけだったり、「筋膜リリース」という特定のテクニックを示すものではありません。

 

また誤解されやすいこととして筋膜リリースが筋膜だけにアプローチしているものではないということです。筋肉と筋膜は密接につながりあっています。なので、多くの筋膜のアプローチ法は筋肉にも影響を与えています。

 

 

筋膜リリースによって改善が可能なのは筋膜の緊張緩和と癒着の改善です。

過緊張して硬くなった筋膜に刺激を加え、過緊張をとり(神経系作用)、血流をよくしたり、水分を供給しやすい状態にし(物理的作用)組織に柔軟性を与えるのが筋膜リリースです。

筋膜はがしという言葉やリリースという言葉から筋膜をべりべりっとはがしたり、ぐい~っと伸ばしたり、組織を溶かしたりなどのイメージがもたれますが、筋膜のコラーゲン繊維は手の力ぐらいでは伸びないし、構造ははがれないし、筋膜の形も変わらないのです。

そんな簡単に構造が変わってしまうと椅子に座る度におしりは平になるし、とがったとこに座ったらおしりはへっこんじゃいます。

 

筋膜はよく鶏肉の薄皮のように表現されたりしますが、もっと水分が豊富でみずみずしく、生きている筋膜は滑らかにすべるものです。癒着の改善とは筋膜のすべりをよくすることです。

ケガや手術後の組織が変性することによって組織が繊維化して癒着がおこっているものをひきはがして、自由にするようことはメスで切らない限りは物理的には難しいと思います。

 

 

 

 

筋膜リリースの役割とは

身体をスムーズに動かすには、ヒアルロン酸など膜同士の間にある潤滑液を正常な状態にし、膜のすべりをよくしてあげることです。あとは、細胞外基質のゲル化を解消して筋膜の伸縮性を取り戻すことや、筋肉、筋膜の交感神経興奮状態などによる異常な筋収縮を抑え、神経が正常に働く状態(きちんと筋肉、筋膜が緩む)をつくってあげることです。

 

これらを達成するのためには「神経筋の調整」「組織への水分補給」「温度を高める」「動き」必要があります。

体温、筋温があがれば、潤滑液であるヒアルロン酸の温度が上がり潤滑機能が高まります。お風呂上がりに体の柔軟性が増すのはこのためです。運動前に体をあたためる・ウォーミングアップの目的も同じです。

温泉後に筋筋膜ストレッチを施術するとすごく効果が高くなるのもこのためです。

 

 

筋膜をリリースする具体的な方法とは「ストレッチ」「皮膚を刺激する」「腕や肘、手で筋筋膜に圧をかけたり、振動させたり、こすったりなどの刺激を加える」「器具でこする」「フォームローラー」「鍼」「注射で生理食塩水の注入」などいろいろあります。

どれが正しい筋膜リリースなのかということではなく、どの方法も一定の効果があります。

 

少し専門的になるので、読み飛ばしてもらってもいいですが、

上記の方法の中には浅筋膜に主に働きかけるもの、深筋膜に働きかけるもの、機械受容器や固有受容器に働きかけるもの、物理的な水分補給などいろんな作用を通じて筋膜リリースを行おうとしています。

筋膜リリースとひとくくりにされますが、アプローチする場所や作用や目的も少しずつ違ったりします。

 

大事なのは何かというと、その人の身体がどういう状態にあるのかを把握する能力と筋膜に正しく働きかけられているのかということです

 

実は普通のストレッチラジオ体操も筋膜はストレッチはされているしヨガも自分でできる筋膜リリースと表現されたりすることがあります。

指圧やマッサージでも筋膜リリースは含まれていますし、どんな運動でも筋膜は使われています。

最近になって筋膜の役割や機能が医学的にどんどんわかってきて注目を浴びているだけであって、筋膜リリースそのものは実はいろんな形で昔から存在します。

 

しかし、普通のマッサージやストレッチを行っていれば、完璧に筋膜はリリースされているのかといえばそういうわけでもありません。

筋膜を意識せず行っている場合は、たまたま、部分的に筋膜リリースにもなっているというだけです。

 

筋膜リリースは、刺激を与える時間や方向、加える力の強さや深さ、刺激の種類などいろんな要素があります。

それらを意識的に行って、筋膜がリリースされている感触を感じとりながら行っていないと筋膜リリースにはならないでしょう。

 

そして、知ってもらいたいのが筋膜リリースをすれば肩こりや腰痛などがすべてが解決するわけではありません。

テレビや雑誌では、筋膜リリースですべて解決みたいな夢のような話をしたりしますが、

筋膜リリースはたくさんある身体へのアプローチ法のひとつに過ぎません。

身体は筋膜だけで構成されているわけでもないからです。

 

そして、身体は緩めれば、柔らかくすればすべてがよくなるわけでもないからです。

柔軟性とともに組織に強さをつけていかなければ、身体は外力に負けてすぐに身体を痛めてしまいます。

筋肉、筋膜をトレーニングするということも必要になってきます。

 

 

 

筋膜が新発見のように扱われているわけ

最近はテレビや雑誌などで「筋膜リリース」という言葉がよく聞かれるようになってきて流行になりつつあります新しい発見のようにメディアでは取り上げられていますが、実は筋膜へのアプローチは鍼灸、オステオパシー、ロルフィングなどでは昔から行われていますし、これらの代替療法のセラピストたちには筋膜の概念はそれほど新しいものではありません。ただ近年の研究の結果から今まで信じられていたことが間違っていたことがわかったり、アプローチ法も年々進化しています。

 

近年の研究の結果、筋膜の果たす役割や機能が科学的に証明され、病気や肩こり、腰痛などと筋膜の関連が医学的に証明されるようになって、現代医学も関心を持ち始め、メディアが新しい新発見のように取り上げられるなりました。

解剖学の本には、筋肉をわかりやすくみせるために深筋膜は示されていません。

筋肉と筋肉は、筋膜でつながっています。

過去の解剖学書は筋肉や内臓などをわかりやすくみせるために、筋膜を除去された状態で表記されていました。現在もそうです。

その概念で医療従事者は勉強してきたわけですから筋膜に関することは深く学ぶことがなく現代まで見過ごされてきました。筋膜の存在をあまり意識することなく、医学、医療が発展してきたのです。

近年の筋膜の注目により今まで病院にいっても治らない、問題ないと言われていた症状も原因が解明されるものが増えてきています。筋膜に注目するドクターも増えてきて、筋膜に対する治療方法も増えてきています。

また、例えば今までは椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症による痛みやしびれですと言われていたものが、違う診断がされる時代にもなってきています。

もちろん、ヘルニアによる症状で手術が必要なものも絶対的にあるのですが、そうでないものも実は多かったのです。本当は手術をしなくてもよかった人や筋筋膜に対するアプローチで改善できた症状も多く存在するのも事実です。